- LP
A.R Luciani
Elettroencefalogramma
Dead-Cert
- Cat No.: VCR-014
- 2020-02-19
相互作用のシステムをつかったマルチメディアのショウなどを行うグループOPERATING THEATREの設立者のひとりで、49年生まれで70年代から現在も現役活動中のアカデミックな教養もある作曲家ROGER DOYLE。ミュージックコンクレート的にフィールドレコーディング音、作曲したものをテープで加工して複雑なストーリーを作り上げている3部作のタイトル曲Thalia(sample1)がまずすごい。そのアヴァンギャルドな世界観から一転し、Baby Grandという曲(sample2)ではピアノとハープシコードの中間のような鍵盤で爪弾かれる爽快な曲に安堵。そしてSolar Eyes(sample3)という曲では大野松雄の世界を感じるような不穏なのに安心感もあるような底知れない空間の広がりを感じる電子音が深い。〈DEAD-CERT〉さすがのリイシューです。 (日野)
脳が瞑想状態に入るのを誘発させるアルファ脳波を使ったアルファムードという実験をしたAmi Shavit。2015年に〈FINDERS KEEPERS RECORDS〉からAmi Shavitの1977年作「In Alpha Mood」がリイシューされましたが、今回はさらにその実験を進めた一部の録音となります。A面は14分弱の脳を柔らかくするサイケデリックな長尺電子音楽。B面はAlpha Rhythmsと名付けられた曲で、ゆっくりなリズムマシンの上に心地よくシンセが混じり合っていく。聴いてると脳内に心地いい成分が分泌されてるような感覚に。 (日野)
スペーシーでTG感もある70年代初期にEMSやSergeで作られた初期電子音楽! ゲイカルチャーの重要人物でありエレクトロニック・ダンスミュージックのパイオニア的な存在のPatrick Cowleyと、ポルノ映画プロデューサー・監督であり元ポルノ女優のCANDIDA ROYALLEが70年代初期に制作した曲群をコンパイルしたアルバム。サンフランシスコに移住し、大学で電子音楽研究に没頭していたPatrick Cowleyは大学に置いてあったEMSやE-MU systems、Serge modularなどのシンセ(豪華!)を使い、アバンギャルドなトラックを製作。それもその研究室では落下する鳥の音や不自然な自然音などの製作をしていたようで、このレコードにもそういった研究の影響が色濃くあります。シンセの上にたまに乗っかるCANDIDAの裏声ボイスが、シンセなのか声なのか分からなくなったりしてサイケデリックな音空間も。最後のリバーブたっぷりなジャジーなアカペラも地味に良い。推薦です!! (日野)
Demdike StareとAndy VotelによるDead-Certより、ベテランジャズドラマーで知られるBruce Ditmasのエクスペリメンタル電子音楽の発掘リリースです。ジャコパス、Paul Bley、ギルエバンスやチェットベイカー、スタンゲッツ…ジャズドラマーとして輝かしい共演の経歴を持つBruce Ditmasですが、このレコードで聴けるものは全く別物。武満徹の映画音楽のような恐怖感のあるサウンドスケープの奥の方でブチブチギュンギュンいうシンセサイザーがかっこいい。近年の発掘リリースで再評価されているモートンサボトニックの嫁JOAN LA BARBARAがBruceの元パートナー兼コラボレーターという事もあり、彼女からの影響も大いにあるのではないでしょうか。 (日野)
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これまであまり知られることのなく埋もれていたイタリアの作曲家A.R LUCIANI。どうやらアウトサイダーと紹介されることが多いようですが、コンテンポラリー、テープ音楽、クラシック、電子音楽が混じりあった技術と才能を感じるもの。雅楽の笙のような透き通った倍音が神聖さを出し、そこに電子音やリズムが乗るセンスが素晴らしい。もちろんそれだけではなく、クラシックの曲やスペーシーな規模の大きな電子音楽まで有り。ユーモアでポップな側面もチラリと見えたりするのも良い。お勧めです! (日野)