TOSHIYA TSUNODA Landscape and Voice
木々の葉が擦れる音を聞きながら、私は自分の内にあるもので、これに対応するものは何だろうかと考えた。音であるならばそれは声以外ないだろう。日本語は子音だけでは言葉にならない。言葉にならない子音こそが、耳に聞こえる音に対応するものではないだろうか。
この作品ではフィールド録音の瞬間的なサンプルを切り取って繰り返し、そこに発音された母音を繰り返したものを重ね合わせる。フィールド録音のサンプルは子音の役割を果たし、それぞれのタイミングが少しずれていくことで聞こえる発音は変化していく。
ここ数年の制作で、私は場所や環境と、どのような関係を結ぶことができるのかを探ってきた。それは、場所や環境を単に録音の対象として捉えるのではなく、それらとの主観的な交わりのような関係である。
声の聞き取りには聞く者の主観が介在する。言葉は客観的であるが、声は必ずしもそうではない。声はその人の存在と関係している。
以上、本人によるライナーノーツより。 (コンピューマ)